働き方改革でペーパーレスの導入を進める企業や検討する企業も増えてきました。しかしどのような方法でペーパーレス化すればいいのか悩んでいる企業も少なくありません。この記事では、実際に導入した事例をもとにペーパーレス化のメリットとデメリットをご説明します。
1.ペーパーレス導入事例:ペーパーレス会議
ペーパーレスを導入する方法として最も一般的な方法の一つは「ペーパーレス会議」です。これまで紙で準備していた会議資料を電子化し、紙を使わずに会議資料を準備・共有・管理していく方法ですがどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット①:会議資料の準備が楽になる
(資料の印刷、配布、差し替えなど)会議準備にはかなりの手間と時間がかかるものです。ペーパーレス会議を導入したほぼ全ての企業が準備の手間がなくなったことを実感しています。
メリット② 紙よりも見やすい
これまでは印刷コストの問題から会議資料をモノクロで準備していたとしても、ペーパーレス会議ならパソコンやタブレットでカラーの資料を見る事ができます。細かい部分を拡大したり、キーワード検索で該当する箇所をすぐに見つけられるのも特徴です。資料の汚れや劣化、紛失といった問題を気にしなくていいというメリットもあります。
メリット③ コストが削減出来る
ペーパーレス化に一番期待するメリットはコスト削減ではないでしょうか。ペーパーレス会議を導入した多くの企業で実際にこの効果が見られています。もちろん、企業によって会議の頻度や印刷する資料の量は異なりますので、まずは1ヶ月にどのくらいの枚数を会議資料のために印刷しているかを確認してみる方がいいでしょう。
例えば、1ヶ月に10回の頻度で会議があり、参加人数は20人、モノクロの会議資料が20枚、平均印刷コストが1枚あたり8円だった場合、年間48,000枚を会議資料のために印刷している計算になりますが、紙の印刷コストを単純計算すると384,000円です。あくまでも単純計算ですがペーパーレス会議を導入することでコストが削減できる可能性は大いにあります。
メリット④ セキュリティの強化
紙の資料の場合、紛失してしまった資料がどこにいったか誰が持っているのかを調べることはほぼ不可能ですし、情報が漏洩しても発見が遅れてしまうこともあります。ペーパーレス化すればいつ誰がデータにアクセスしたかを調べる事ができますし、アクセスや閲覧期間に制限を設ける事で情報漏洩などのセキュリティリスクを下げることになります。万が一不正アクセスがあった場合も早期発見できるため被害の拡大を防ぐ事にもなります。
デメリット① 資料への書き込みがしづらい
紙ならペンでさっと書き込めたメモが、ペーパーレス会議だと思うようにかけない事があります。タブレットなら対応するペンで書き込むことはできますが、使用するタブレットによって精度や感度が違うため中には書き心地の悪いものもあります。解決するには最新のiPadなどペン操作に優れたタブレットを準備する必要があるでしょう。
デメリット② 複数の資料を見比べづらい
複数の資料を見比べる場合、紙であれば隣に並べて瞬時に確認できますが、タブレットは画面内でしか資料が見れないのでいちいち画面を切り替えたり、セパレートにして小さい画面で見比べる必要があります。
デメリット③ 操作に慣れない
新しい電子機器の操作を覚えるのが苦手だったり抵抗感のある方も多いでしょう。会議の参加者がタブレットの操作に慣れておく事も重要ですが、日頃からスマートフォンを使っている人なら慣れるのにそれほど時間はかからないでしょう。
2.工夫してペーパーレス化した事例
働き方が多様化し在宅勤務をされている方も少なくありません。ペーパーレス化を導入すれば自宅からでも社内会議に参加しやすくなります。もちろん自宅ではなく出張先や海外からでも会議に参加できます。
ペーパーレス化を導入したある建設会社は、営業が顧客と打ち合わせた内容をリアルタイムで設計や他部門と共有できるようになり、スピーディな対応と生産性の向上を実現する事が出来ました。
ペーパーレス化を進める大学もあります。教師も生徒もタブレットを持ち全員で同じ画面に書き込みながら議論できるようになっています。今までは教師が黒板に書いていた内容を生徒がノートに写していましたが、ペーパーレス化すると生徒は教師が書いた内容をそのままタブレット内に保存できますし、いちいち前に出て黒板に記入しなくても自分の席からでも書き込みが出来るようになっています。
3.まとめ
ペーパーレス会議の場合、会議資料の準備が楽になる、紙よりも見やすい、コストが削減出来る、セキュリティの強化などのメリットがあります
。もちろん各企業によって状況は異なりますので事前によく調査・準備する事が大切です。しかし、ペーパーレス化には資料への書き込みがしづらい、複数の資料を見比べづらい、操作に慣れないといったデメリットもありますので、中途半端に導入してしまうとあまり効果が感じられなかったり、徐々に紙を使用する参加者が増えてくる可能性もあります。
ペーパーレス化にはデメリットを補って余りあるメリットがありますので、事前によく検討し段階的に導入する事で作業効率の向上やコストの削減が期待できます。